暑い日に体調が悪くなった時、熱中症では「早く体を冷やすこと」がとても重要です。

その方法のひとつに、気化熱を利用した冷却があります。

気化熱とは、水分が蒸発する時に周囲の熱を奪う仕組みのことです。

汗をかくと体が冷えるのも、汗が皮膚の上で蒸発する時に体の熱を奪ってくれるためです。

この仕組みを応急処置に応用すると、皮膚を水でぬらし、そこに風を当てることで体を冷やしやすくなります。

日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2024でも、熱中症の体温冷却治療は「Active Cooling」と「Passive Cooling」に分けて整理されており、Active Coolingには冷水浸漬や蒸散冷却などが含まれます。

家庭や屋外でできる気化熱を使った冷却法は、次のような手順です。

  1. まず涼しい場所へ移動する
  2. 衣服をゆるめる
  3. 皮膚に水をかける、またはぬれタオルで体をぬらす
  4. 扇風機、うちわ、送風機などで風を当てる
  5. 首、わきの下、足の付け根など太い血管が通る場所も冷やす
  6. 意識がはっきりしていて飲める場合は、経口補水液などで水分と塩分を補給する

ポイントは、「ぬらすだけ」で終わらせないことです。

水分が蒸発する時に熱を奪うため、ぬらした皮膚に風を当てることで冷却効果が高まりやすくなります。

霧吹きがあれば、皮膚に水を吹きかけながら風を当てる方法も有効です。

霧吹きがない場合は、タオルを水でぬらして体に当て、こまめに交換しながら風を当ててもよいでしょう。

ただし、湿度が高い場所では水分が蒸発しにくく、気化熱による冷却が効きにくいことがあります。

そのため、可能であればエアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰へ移動することが大切です。

また、氷や保冷剤がある場合は、首の周り、わきの下、足の付け根を冷やす方法も併用できます。

これらの部位には太い血管が通っているため、体全体を冷やす助けになります。

一方で、次のような場合は、家庭で様子を見ずにすぐ救急車を呼んでください。

  1. 意識がぼんやりしている
  2. 呼びかけへの反応がおかしい
  3. 自力で水分を飲めない
  4. けいれんしている
  5. 体が非常に熱い
  6. まっすぐ歩けない
  7. 休んでも症状が改善しない

厚生労働省も、熱中症が疑われる場合は、涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて体を冷やし、経口補水液などを補給することを示しています。

また、自力で水が飲めない場合や意識がない場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。

救急車を待っている間も、可能であれば冷却を続けてください。

熱中症は、体温が高い状態が続くほど、脳や内臓に負担がかかる危険があります。

特に高齢の方、持病のある方、乳幼児、屋外作業をしている方は、症状が急に悪化することがあります。

「少し休めば大丈夫」と思っても、意識の変化や強いだるさ、吐き気、ふらつきがある時は注意が必要です。

気化熱を使った冷却は、特別な道具がなくても始めやすい応急処置です。

暑い時期は、霧吹き、ぬれタオル、うちわ、保冷剤、経口補水液などを準備しておくと安心です。

豊川医院では、熱中症の予防や、暑い時期の水分・塩分補給、持病がある方の夏の過ごし方についてもご相談いただけます。

体調に不安がある場合は、早めにご相談ください。