暑い時期になると、熱中症予防のためにスポーツ飲料を飲む機会が増えます。
汗をたくさんかいた時には、水分だけでなく塩分も失われるため、スポーツ飲料が役立つ場面があります。
しかし、「熱中症が心配だから」といって、スポーツ飲料を水の代わりに何本も飲み続けると、糖分のとりすぎにつながることがあります。
スポーツ飲料には、飲みやすくするため、また運動時のエネルギー補給のために糖質が含まれているものがあります。
そのため、飲む量が多くなると、知らないうちに糖分を多くとってしまい、血糖値が上がる可能性があります。
特に注意が必要なのは、糖尿病のある方、境界型糖尿病と言われたことがある方、健診で血糖値やHbA1cが高めと言われた方です。
糖分を含む清涼飲料水やスポーツ飲料を多く飲み続けると、血糖値が上がり、のどが渇き、さらに甘い飲み物を飲んでしまう悪循環に入ることがあります。
このような状態は、清涼飲料水ケトーシス、いわゆる「ペットボトル症候群」と呼ばれることがあります。
症状としては、強いのどの渇き、多尿、だるさ、体重減少、吐き気などがみられることがあります。重症になると意識障害を起こすこともあります。
ここで大切なのは、「スポーツ飲料は飲んではいけない」ということではありません。
スポーツ飲料は、使う場面と量を考えることが大切です。
たとえば、短時間の外出や室内での日常的な水分補給であれば、水や麦茶などの無糖飲料を中心にするのが基本です。
一方で、長時間の屋外作業、運動、大量に汗をかいた時には、水分と塩分を補う目的でスポーツ飲料や経口補水液が役立つことがあります。

スポーツ飲料には、大きく分けて「アイソトニック飲料」と「ハイポトニック飲料」があります。
アイソトニック飲料とは、体液に近い浸透圧に調整された飲料です。
運動前や、汗をかく前の水分・エネルギー補給に使いやすいとされています。
ただし、糖質が比較的多めの商品もあるため、日常的に大量に飲むと糖分のとりすぎになることがあります。
ハイポトニック飲料とは、体液より低い浸透圧に調整された飲料です。
汗をかいて体液がやや濃くなっている時、つまり運動中や発汗中には、水分が吸収されやすいとされています。
運動中や屋外作業中にこまめに飲む場合は、ハイポトニック飲料が選択肢になることがあります。
ただし、ハイポトニック飲料であっても、糖質を含む商品はあります。
「ハイポトニックだからいくら飲んでもよい」というわけではありません。
選ぶ時は、商品の栄養成分表示で、炭水化物、糖質、糖類、食塩相当量を確認することが大切です。
日本スポーツ協会は、スポーツ活動時の水分補給として、汗で失われる水分と塩分を補うことの重要性を示しています。
また、1時間以上の運動では、エネルギー補給も考えて糖分を含む飲料が役立つ場合があります。
しかし、これは「運動や発汗で必要な場面」の話です。
普段の生活で、あまり汗をかいていない時までスポーツ飲料を水代わりに飲み続ける必要はありません。
スポーツ飲料を飲む時は、次の点を意識しましょう。
- 日常の水分補給は水や麦茶など無糖飲料を中心にする
- スポーツ飲料は汗を多くかいた時や長時間の運動・作業時に使う
- ペットボトルを一気に飲まず、少量ずつ飲む
- 糖尿病や血糖高めの方は、飲む量と回数に注意する
- 栄養成分表示で糖質や炭水化物の量を確認する
- のどの渇きが強く、多尿やだるさがある時は高血糖も考える
熱中症対策では、水分不足も危険ですが、糖分のとりすぎにも注意が必要です。
特に、のどが渇くからスポーツ飲料を飲む、飲むほどまたのどが渇く、という状態がある場合は注意してください。
血糖値が高くなると、尿に糖が出て、尿の量が増え、さらに脱水が進むことがあります。
「熱中症予防のつもり」が、かえって高血糖や脱水を悪化させることがあるのです。
もちろん、大量に汗をかいた時や、暑い場所で長時間作業する時には、塩分を含む飲料が必要になることもあります。
大切なのは、自分の体調、持病、活動量、汗の量に合わせて選ぶことです。
豊川医院では、熱中症予防だけでなく、糖尿病、境界型糖尿病、生活習慣病の方の夏の水分補給についてもご相談いただけます。
「スポーツ飲料を飲んでもよいのか」
「血糖値が高めだが、熱中症予防はどうすればよいか」
「のどの渇きや尿の回数が増えて心配」
このような場合は、自己判断で飲み続けず、お気軽にご相談ください。
夏の水分補給は、量だけでなく、何を飲むかも大切です。
スポーツ飲料は上手に使い、普段は無糖の飲み物を中心にして、熱中症と高血糖の両方を予防していきましょう。