暑い日が続く季節は、熱中症に注意が必要です。

熱中症予防では、水分補給、エアコンの使用、暑さ指数(WBGT)の確認が大切ですが、もう一つ重要なのが「暑熱順化」です。

暑熱順化とは、体が暑さに少しずつ慣れていくことです。

暑い環境に繰り返しさらされると、体は熱を逃がしやすい状態に変化していきます。具体的には、汗をかき始めるタイミングが早くなる、汗の量が増える、汗から失われる塩分が少なくなる、心拍数や体温の上昇が抑えられやすくなる、皮膚の血流が増えて熱を逃がしやすくなる、などの変化が起こります。

つまり、暑熱順化が進むと、同じ暑さでも体への負担が少なくなり、熱中症を起こしにくくなると考えられています。

一方で、暑さに慣れていない時期は注意が必要です。

梅雨明け直後、急に暑くなった日、久しぶりに屋外で作業する日、運動を再開した日などは、体がまだ暑さに対応できていないことがあります。このような時期は、気温が同じでも熱中症のリスクが高くなります。

暑熱順化は、一般的に数日から2週間程度かけて少しずつ進むとされています。米国NIOSHでは、暑い環境で働く人に対して、7〜14日かけて徐々に暑熱環境での作業時間を増やすことを推奨しています。新しく暑い環境で働く人では、初日は通常作業時間の20%程度から始め、少しずつ増やすことが勧められています。

日常生活では、いきなり炎天下で長時間過ごす必要はありません。

軽いウォーキング、室内でのストレッチや筋トレ、ぬるめの入浴など、無理のない範囲で汗をかく習慣をつくることが、暑さに慣れる体づくりにつながります。

ただし、暑熱順化は「暑さを我慢すること」ではありません。

体調が悪い日、寝不足の日、発熱や下痢がある日、食事や水分が十分にとれていない日は、無理に運動や入浴を行わないでください。高齢の方、心臓病、腎臓病、高血圧、糖尿病などの持病がある方、利尿薬などを内服している方は、脱水や体調変化に特に注意が必要です。

暑熱順化を進める時のポイントは、次の通りです。

  1. 急に長時間の屋外活動をしない
  2. 軽い運動や入浴から始める
  3. 数日から2週間かけて少しずつ慣らす
  4. 水分補給を忘れない
  5. 体調が悪い日は無理をしない
  6. 暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒アラートを確認する

また、一度暑さに慣れても、涼しい環境でしばらく過ごすと暑熱順化の効果は低下していきます。旅行、入院、長期休暇、在宅中心の生活などで暑さから離れた後に、急に屋外作業や運動を再開する場合も注意が必要です。

熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こります。特に高齢の方は、暑さやのどの渇きを感じにくいことがあり、気づかないうちに脱水が進むことがあります。暑熱順化だけに頼らず、エアコンの使用、こまめな水分補給、休憩、涼しい服装を組み合わせて対策しましょう。

めまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、強いだるさ、筋肉のこむら返り、尿の色が濃い、尿の回数が少ないといった症状がある場合は、早めに涼しい場所で休み、水分をとってください。

意識がぼんやりしている、自分で水分がとれない、嘔吐を繰り返す、けいれんがある、まっすぐ歩けない、体が非常に熱い場合は、すぐに119番へ連絡してください。

豊川医院では、暑さによる体調不良、脱水が心配な症状、生活習慣病や持病がある方の夏場の体調管理についてもご相談いただけます。暑さに少しずつ慣れる工夫をしながら、無理のない熱中症対策を行いましょう。