「昔、帯状疱疹にかかったことがあります。それでも帯状疱疹ワクチンは受けた方がよいですか?」
外来でこのようなご相談を受けることがあります。
結論からいうと、過去に帯状疱疹にかかったことがある方でも、帯状疱疹ワクチンの接種を検討する意味があります。

一度帯状疱疹にかかると「もう免疫ができたから大丈夫」と思われるかもしれません。しかし、帯状疱疹は再発することがあります。特に年齢が上がるにつれて、また糖尿病、免疫を下げる治療、強い疲労や体調不良などがある場合には注意が必要です。
帯状疱疹は、水ぼうそうと同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。子どもの頃などに水ぼうそうにかかった後、ウイルスは体の神経に潜んだまま残ります。
加齢や疲労、免疫力の低下などをきっかけに、このウイルスが再び活動し始めると、神経に沿って痛みや水ぶくれが出る帯状疱疹を発症します。
帯状疱疹で特に問題になるのは、皮膚の症状が治った後も痛みが長く残ることがある点です。これを帯状疱疹後神経痛といいます。
痛みが数か月以上続き、睡眠や日常生活に影響することもあります。そのため、帯状疱疹ワクチンは「発症を防ぐ」だけでなく、「つらい神経痛を防ぐ」目的でも大切です。
現在、帯状疱疹ワクチンには主に2種類があります。
1つは生ワクチンで、1回接種です。もう1つは組換えワクチンで、通常2か月以上あけて2回接種します。
厚生労働省の情報では、帯状疱疹に対する予防効果は、生ワクチンでは接種後1年時点で6割程度、5年時点で4割程度とされています。一方、組換えワクチンでは接種後1年時点で9割以上、5年時点で9割程度、10年時点で7割程度の予防効果が報告されています。
帯状疱疹後神経痛に対しても、接種後3年時点で、生ワクチンは6割程度、組換えワクチンは9割以上の予防効果が報告されています。
ただし、どちらのワクチンがよいかは、年齢、基礎疾患、免疫を下げる薬を使っているか、費用、接種回数、副反応の出やすさなどによって変わります。
特に免疫が低下している方では、生ワクチンを接種できない場合があります。一方、組換えワクチンでは接種部位の痛み、発赤、筋肉痛、疲労感、発熱などが比較的みられやすいとされています。
過去に帯状疱疹にかかった方が接種する場合、今まさに帯状疱疹を発症している最中には接種しません。発疹や痛みなどの急性期症状が落ち着いてから、接種時期を医師と相談します。
「何年前にかかったか」だけで一律に決めるのではなく、現在の年齢、再発リスク、帯状疱疹後神経痛のリスク、持病や内服薬をふまえて判断することが大切です。
また、2025年度から、65歳の方などを対象に帯状疱疹ワクチンが定期接種の対象となりました。2025年度から2029年度までの5年間は経過措置として、その年度に70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方も対象となります。
対象年齢や自己負担額、使用できるワクチンは自治体によって案内が異なる場合があります。接種を検討される方は、お住まいの自治体からの案内も確認してください。
過去に帯状疱疹にかかったことがある方でも、再発の可能性はゼロではありません。
「昔かかったから、もうワクチンは不要」と自己判断せず、50歳以上の方、65歳以上の方、基礎疾患のある方、免疫を下げる治療を受けている方、帯状疱疹後神経痛が心配な方は、一度ご相談ください。
豊川医院では、帯状疱疹ワクチンについてのご相談にも対応しています。
「自分は定期接種の対象になるのか」
「生ワクチンと組換えワクチンのどちらがよいのか」
「昔帯状疱疹にかかったが、いつ接種すればよいのか」
このような疑問がある方は、お気軽にご相談ください。