暑い季節になると、
「夏は1日どれくらい水分を飲めばよいですか?」
「水だけでよいですか?」
「スポーツドリンクは飲んだ方がよいですか?」
といった質問を受けることがあります。
熱中症予防のためには、水分補給はとても大切です。ただし、必要な水分量は、年齢、体格、汗の量、運動量、仕事の内容、持病の有無によって変わります。
一般的な目安として、環境省は1日あたり1.2L程度の水分補給を示しています。これは食事に含まれる水分とは別に、飲み物として意識してとる量の目安と考えるとわかりやすいでしょう。
ただし、これはあくまで「普段の生活での目安」です。
炎天下での作業、屋外での運動、汗をたくさんかく仕事、発熱、下痢、入浴後などでは、さらに水分が必要になります。
米国NIOSHでは、暑い環境で中等度の作業を行う場合、15〜20分ごとに約1杯、つまり約240mLの水分をとることを推奨しています。これは1時間あたり約700〜950mLに相当します。
一方で、水分は多ければ多いほどよいわけではありません。短時間に大量の水だけを飲みすぎると、血液中のナトリウムが薄まり、低ナトリウム血症を起こすことがあります。NIOSHも、一般に1時間あたり約1.4Lを超える水分摂取は避けるよう注意しています。
日常生活での水分補給のこつは、のどが渇く前に、少しずつ飲むことです。
高齢の方は、のどの渇きを感じにくくなることがあります。また、トイレが近くなるのを嫌がって水分を控えてしまう方もいます。しかし、夏場に水分を控えすぎると、脱水や熱中症のリスクが高くなります。
おすすめの飲み方は、次のようにタイミングを決めておくことです。
- 起床時にコップ1杯
- 朝食時にコップ1杯
- 昼食時にコップ1杯
- 午後に数回に分けて補給
- 入浴前後にコップ1杯
- 夕食時にコップ1杯
- 就寝前に少量
水分補給の基本は、水またはお茶でよいことが多いです。
ただし、お茶の中でも緑茶、紅茶、ウーロン茶、ほうじ茶などにはカフェインが含まれます。カフェインには利尿作用があるため、暑い日に大量に飲む水分補給としては、麦茶や水、カフェインを含まない飲み物を選ぶ方が安心です。
特に、脱水が心配な時、汗を多くかいた時、高齢の方、夜間の尿が気になる方は、カフェインを含む飲み物に偏りすぎないよう注意しましょう。
ただし、大量に汗をかいた時、屋外作業や運動が長時間続く時、こむら返りが出る時などは、水分だけでなく塩分も失われます。そのような場合は、経口補水液やスポーツドリンクなどが役立つことがあります。
一方で、スポーツドリンクや清涼飲料水には糖分が多く含まれるものがあります。日常的に何本も飲むと、血糖値の上昇や体重増加につながることがあります。糖尿病や血糖値が高い方は特に注意が必要です。
アルコールは水分補給にはなりません。ビールやお酒を飲むと、一時的に水分をとったように感じますが、利尿作用により脱水を進めることがあります。暑い日の飲酒後は、特に水分不足に注意してください。
また、心不全、腎臓病、肝硬変などで水分制限を受けている方、透析中の方、利尿薬を内服している方は、自己判断で水分を増やしすぎないでください。高血圧や腎臓病で塩分制限を受けている方も、塩分を含む飲料をとりすぎないよう注意が必要です。
水分が足りているかを確認する簡単な目安として、尿の色があります。尿の色が濃い、尿の回数が少ない、口が渇く、だるい、立ちくらみがする、頭痛がある、こむら返りが出るといった場合は、脱水のサインかもしれません。
一方で、意識がぼんやりしている、自分で水分が飲めない、嘔吐を繰り返す、けいれんがある、まっすぐ歩けない、体が非常に熱いといった場合は、家庭で様子を見すぎず、すぐに119番へ連絡してください。
夏の水分補給の目安をまとめると、次のようになります。
- 普段の生活では1日1.2L程度を目安にする
- のどが渇く前に、少しずつ飲む
- 汗を多くかく時は追加で水分をとる
- 大量に汗をかいた時は塩分も補う
- カフェインを含むお茶や甘い飲み物、アルコールに頼りすぎない
- 心臓病、腎臓病、透析中の方は主治医に相談する
豊川医院では、熱中症予防、脱水が心配な症状、高血圧・糖尿病・腎臓病など持病がある方の夏場の体調管理についてもご相談いただけます。暑い季節は、無理をせず、こまめな水分補給と涼しい環境づくりを心がけましょう。