「かぜを早く治したいので、抗生物質をもらえますか?」
秋冬の感染症が気になる時期、こうした疑問を持つ方もいらっしゃると思います。今回は、抗菌薬(一般に抗生物質とも呼ばれます)が役立つ場合と、必要がない場合をお伝えします。
抗菌薬は「細菌」に対する薬です
かぜの多くはウイルスが原因です。抗菌薬は細菌に対する薬であり、かぜのウイルスには効きません。インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスそのものにも効果はありません。国立健康危機管理研究機構・AMR臨床リファレンスセンター
インフルエンザや新型コロナでは、重症化リスクや発症からの時間などによって、抗ウイルス薬を検討することがあります。抗菌薬と抗ウイルス薬は、別の種類の薬です。

細菌感染では、抗菌薬が必要なこともあります
細菌性肺炎や、検査で確認された溶連菌による咽頭炎などでは、抗菌薬が必要になることがあります。また、ウイルス感染に細菌感染を合併した場合にも使用することがあります。
「かぜだから絶対に不要」「熱が高いから必ず必要」と一律には判断できません。症状の経過、診察所見、必要に応じた検査を合わせて、医師が判断します。厚生労働省・抗微生物薬適正使用の手引き
必要のない抗菌薬には、不利益もあります
抗菌薬には下痢や発疹などの副作用があり、ときに重いアレルギー反応などが起こることもあります。効果が期待できない病気に使用すると、利益がないまま副作用のリスクを負うことになります。
また、不必要・不適切な使用は、抗菌薬が効きにくい細菌である「薬剤耐性菌」が広がる一因になります。薬剤耐性とは、体が薬に慣れることではなく、細菌などが薬に抵抗する性質を持つことです。厚生労働省・薬剤耐性対策
抗菌薬を処方されたときに守りたいこと
- 前の病気で余った抗菌薬を、自己判断で使わない。
- 家族や知人に薬をあげない、もらわない。
- 用量・回数・日数は、医師や薬剤師の指示を守る。
- 自分で服用期間を延ばしたり、量を減らしたりしない。
- 発疹や強い下痢などが出たら、処方元や薬剤師へ相談する。
重い副作用が疑われる場合は、「処方分を飲み切らなければ」と無理に続けないでください。息苦しさや顔・唇の腫れ、意識の異常などがあれば、直ちに救急要請してください。AMR臨床リファレンスセンター・薬の使い方
抗菌薬が出なくても、経過の確認は大切です
かぜと判断された場合は、休養、水分補給、必要に応じた症状を和らげる薬などで経過をみます。ただし、最初の診察で軽症と判断されても、その後に病状が変化することがあります。
発熱が続く、いったんよくなった後に再び悪化する、水分がとれない、息切れが出るなどの場合は、再度ご相談ください。高齢者、妊娠中の方、持病や免疫機能の低下がある方は、早めの相談が大切です。強い息苦しさや意識の異常がある場合は119番へ連絡してください。
豊川医院へご相談ください
抗菌薬は、必要な感染症に適切に使うことで、大切な役割を果たす薬です。「薬を使わない方がよい」ということではなく、原因や病状に合った治療を選ぶことが重要です。
所沢市小手指の豊川医院では、症状の経過、持病、内服薬などを確認し、必要な治療をご説明します。「なぜ抗菌薬が必要なのか・不要なのか」「どのような症状が出たら再受診するか」など、気になることは診察時にお尋ねください。発熱や感染症が疑われる方は、来院前にご連絡ください。