「熱はないけれど、いつもより食べない」「何となく元気がない」。ご高齢のご家族に、そんな変化はありませんか。秋から冬を迎える前に知っておきたいのが、高齢者の肺炎は、高熱や強いせきが目立たないこともあるという点です。

食欲低下だけで肺炎と判断することはできません。ただ、「熱がないから大丈夫」と決めつけず、普段との違いを手がかりにすることが大切です。

肺炎は「熱とせき」だけではありません

肺炎では、発熱、せき、たん、息苦しさ、胸の痛みなどがみられます。一方、高齢者では典型的な症状がそろわず、食欲が落ちる、ぼんやりするなどの変化がきっかけになることがあります。日本呼吸器学会も、こうした非典型的な症状への注意を呼びかけています。

特に、高齢の方や、糖尿病・心臓病・腎臓病などの持病がある方は、気になる変化を早めに相談しましょう。参考:日本呼吸器学会「市中で起こる肺炎」

ご本人・ご家族が気づきたい「いつもとの違い」

  • 食事や水分の量が、普段より明らかに減った
  • 元気がなく、日常の動作がしづらそうになった
  • せきやたんが増えた、息切れが出た、呼吸がいつもより速い
  • ぼんやりしている、会話や反応の様子が普段と違う

これらは肺炎以外の病気でも起こります。複数の変化が重なった場合や、急に状態が変わった場合は、発熱の有無だけで判断せず、当日中を目安に医療機関へ相談してください。いつから、何が変わったか、食事・水分量、体温、持病や薬の情報を伝えると役立ちます。

高齢者の肺炎では高熱がないこともあり、食欲や元気の低下、息切れなどに注意。口腔ケアや禁煙を心がけ、強い息苦しさや反応が悪い場合は119番。

強い息苦しさ・反応が悪いときは119番

息苦しくて会話が難しい、呼びかけても反応が乏しい、意識がはっきりしない、唇が紫色になるといった場合は、通常の診療予約やチャットの返事を待たず、119番で救急要請してください。

急な意識や反応の変化は、肺炎に限らず緊急の対応が必要な病気のサインになり得ます。意識が悪い方に無理に飲食させないでください。

食事中にむせる方は「誤嚥性肺炎」にも注意

食べ物や唾液などが誤って気道に入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます。口の中の細菌などが一緒に肺へ入り、炎症を起こすのが誤嚥性肺炎です。飲み込む力や、せきで外に出す力が弱くなることが関係します。

食事でむせやすい、飲み込みづらい、肺炎を繰り返す場合は、かかりつけ医や歯科医に相談しましょう。むせが目立たない誤嚥もあり、むせないから安全とは限りません。自己判断で食形態やとろみだけを変更するのではなく、飲み込む機能に合った対応を確認することが大切です。参考:日本呼吸器学会「誤嚥性肺炎」

予防は口腔ケアと日々の健康管理から

  • 歯みがきや義歯の清掃を行い、口の中を清潔に保ちましょう。介助が難しいときは歯科や介護スタッフに相談してください。
  • 禁煙を心がけ、持病の治療を続けましょう。
  • 食事・休養を大切にし、飲食量が減っているときは早めに相談しましょう。
  • 肺炎球菌、インフルエンザ、COVID-19などのワクチンは、年齢・持病・接種歴に応じて医師に相談しましょう。

口腔ケアは口の中の細菌を減らし、誤嚥性肺炎の予防に役立つ対策の一つです。ただし、歯みがきやワクチンだけですべての肺炎を防げるわけではありません。参考:国立長寿医療研究センター「口腔ケア外来のご案内」

豊川医院へのご相談について

体調の変化については、一般内科・総合診療の案内もご覧ください。発熱・せきなど感染症が疑われる場合は、通常の外来予約へ進む前に、電話(04-2948-1122)で受診方法をご確認ください。

すでに訪問診療を受けている方の急な体調変化は、まず普段の担当医療機関へ連絡してください。当院の訪問診療についてのご相談は、訪問診療の案内をご確認のうえ、お電話でお問い合わせください。緊急時は119番を優先してください。

「いつもと違う」に早く気づき、熱の数字だけでなく、ご本人の全体の様子を見守っていきましょう。

本記事は一般的な情報であり、診断の代わりにはなりません。情報確認日:2026年10月29日。参照した一次情報は本文中のリンクをご確認ください。